ベーコンづくりにスパイスは必要か?
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▶︎燻製香の前で、スパイスはどこまで意味を持つのか?
今回のテーマです。
ベーコンづくりでは、塩と一緒にスパイスをすり込む工程が、ごく自然に組み込まれています。
自分自身も、これまで特に疑問を持たず、その手順を踏んできました。
ただ、あらためて考えてみると、一つ引っかかる点があります。
燻製香は、かなり強い。
その前で、塩漬け段階のスパイスは、本当に意味を持っているのでしょうか。
今回は、スパイスがどこまで影響しているのかを整理するために考えてみます。
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■ 塩漬けで起きていることを整理する
まず、塩漬け工程で何が起きているのかを整理します。
塩を肉にすり込むと、最初の数時間で、目に見えて水分が滲み出てきます。
▶ 初期に起きるのは「脱水」
この段階で起きているのは、塩分濃度の差による浸透圧です。
肉の内部から水分が引き出され、表面が濡れ、塩が溶ける環境ができます。
ここでは、「塩が中に入る」というより、水が外に出るという現象が主です。
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■ 脱水のあとは、塩がゆっくり広がっていく
▶ 後半は「塩の拡散と均一化」
表面に滲み出た水分に塩が溶けると、表面には濃い塩水ができます。
この状態から、塩は数日かけて、濃度の低い中心部へ向かって拡散していきます。
5日間の塩漬けというのは、
- 初期:脱水
- 後半:塩味の均一化
この2段階で成り立っていると考えると分かりやすいです。
後半は、水分がどんどん抜け続ける時間ではありません。
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■ では、スパイスは同じように入るのか
ここで疑問になります。
塩が中まで入るなら、スパイスの香りも同じように入るのでしょうか。
▶ 塩とスパイスは、同じ挙動をしない
塩は水に溶け、分子が小さく、拡散によって移動できます。
一方で、多くのスパイスは、
- 香り成分が揮発しやすい
- 水に溶けにくい
- 分子サイズも大きい
という性質を持っています。
そのため、スパイスの香りは基本的に、表面付近に留まりやすいと考えられます。
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■ 時間をかければ解決する話ではない
▶ 「香っている」と「影響している」は別
塩漬けの時間を延ばせば、スパイスの香りが中まで入るかというと、そう単純ではありません。
表面では「効いている感じ」が強まっても、中身の印象はあまり変わらない。
このズレが、スパイス評価を難しくしているように感じます。
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■ 燻製という工程が加わったとき
燻製は、説明するまでもなく
- 煙由来の香りが強く付着する
- 表面の香りは上書きされやすい
という特徴が加わります。
▶ 燻製香は非常に支配的
強い燻製香を纏う中で、塩漬け段階のスパイスがどこまで意味を持つのか。
そこが、今回の検証ポイントです。
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■ 今回立てた仮説
ここまでを踏まえ、今回の仮説は次の通りです。
スパイスは必ずしも必要ではない可能性がある
中に入れるというより、表面や脂の印象を整える役割に留まり、燻製香が強い条件では、
存在感が薄れると思うからです。
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■ 実験方法について
今回は、スパイスの有無だけを比較できる様に、塩抜きを行わない方法で、燻製を作ります。
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■ なぜ「塩漬け → 塩抜き」を行わないのか
一般的な製法では、塩とスパイスをすり込んだ後、水に漬けて塩抜きを行います。
▶ 塩抜きでは評価が曖昧になる
塩抜きを行うと、
- 表面に残ったスパイス
- 水溶性の香味成分
が、塩と一緒に流れ出てしまう可能性があります。
そのため、
- 効かなかったのか
- 洗い流したのか
判断ができないと考えたからです。
そこで今回は、スパイスの影響を正当に評価するため、塩抜きを行わない方法を採用することにしました。
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■ 実験工程(共通条件)
- 塩抜きは行わない
- 燻製条件はすべて共通
- 燻製後、ラップなしで1日休ませる
- その後、ラップをして8日間熟成させる
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■ 初期脱水の設定
今回のベーコンは、重量500g前後、厚み4〜5cmを想定しています。
▶ 初期脱水は6時間
この工程は、塩漬けで期間で起こる、脱水と塩入れを切り分けてることで、スパイスの入りやすい環境が整うのでは?と考えた上での試みです。
- 振り塩をしてキッチンペーパーで包む
- 3時間経過時点でペーパーを一度交換
- 6時間経過後、再度ペーパーを交換
6時間後にペーパーを交換し、
ここから塩漬け工程に入ります。
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■ 塩漬け5日間(条件分岐)
ここで初めて、片方にスパイスを振ります。
脱水された状態ですので、スパイスが入りやすくなるはずです。
▶ ❷-1 塩のみ
初期脱水後、そのまま塩のみで5日間
▶ ❷-2 塩+スパイス
初期脱水後、スパイスを振って5日間
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■ 塩漬け後
塩漬け後、表面に残ったスパイスは軽く払い落とします。
洗い流さず、こすらず、付着している粒を落とす程度です。
▶ 条件を揃えるため
これは、表面に残っているスパイスによって燻製工程に差が出ないようにするためです。
通常の塩抜き工程でも、表面のスパイスは、ほぼ洗い流せれてしまうと思うので、これに近い環境も作ることができると考えました。
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■ 今回の検証範囲について
なお、今回の検証では、スパイスによる抗菌作用や保存性への影響は考慮していません。
保存食としてではなく、嗜好品としてのベーコンを前提に、香りと味の違いのみを評価しようと思います。
個人的には、今回の条件で差が出ない結果の方が、面白いな考えていますし、望んでいます。
スパイスはコストもかかりますし、不要であれば工程もシンプルになるので、上手くいけば燻製レシピのアップデートになるのではないでしょうか?
■ 次回について
次回は、この条件で仕込んだベーコンを比較し、
- 燻製直後
- 一日置いた後
- 熟成後
それぞれの段階で、香りや味の違いを確認します。
スパイスは本当に必要なのか。
それとも、なくても成立するのか。
お楽しみに。
