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”映え”より”味”を追求しました。

”映え”より”味”を追求しました。

ウイスキーの樽熟成に興味を持ち始めた頃、「ミニ樽」という存在があることを知りました。

厳密に言えば、ミニ樽そのものは以前から知っていました。

ただ、どちらかというとインテリア寄りの存在だと思っていて、本気で熟成を楽しむ道具だとは考えていなかったのです。

ところが、調べていくうちに実際にウイスキーを熟成できるということを知り、俄然、興味が湧きました。

気づけば、ミニ樽を手にしていました。

 

ミニ樽から始めました

知り合い経由で手に入れたミニ樽は、少し変わったものでした。
樽のフラットな面がガラスになっていて、中身が見える仕様。

容量は3リットル。
ミニ樽としては大きめで、どちらかと言えば本格派の部類です。

最初は焼酎で試してみました。
すると、みるみる色が変わっていく。

「これは本当に熟成しているな」

そう確信し、すぐにウイスキーに切り替えました。

日々、色や香りの変化を確認するのが楽しく、
何より、樽から直接ウイスキーを注ぐ時間がとても贅沢に感じられました。

 

 

使い続けるうちに、違和感が残りました

使い始めてすぐ、ウイスキーにははっきりと樽香が付きました。
その変化自体は、正直うれしかった。

ただ、日数が経つにつれて、変化のスピードがあまりにも速いことが気になり始めます。

ニューメイク(ニューポット)が樽に詰められ、何年もの時間をかけて少しずつ変化していくのが本来の熟成。

それに比べると、ミニ樽での変化は急激すぎるように感じました。

味の好みもあるとは思います。
ただ、僕の感覚では、木香が少し強すぎると感じるようになっていったのです。

 

 

ミニ樽で感じた3つの課題

 

① 樽に負ける

業界では、樽の影響が強く出過ぎて
ウイスキーのバランスを崩してしまうことを「樽に負ける」と言います。

バーボンウイスキーでは、180リットルの新樽使用が法律で義務付けられていますが、その強い影響を抑えるために、樽の内側を焦がす「チャー」という加工が施されています。

また、スコッチなどで使われるホッグスヘッド(約230リットル)は、バーボン樽を解体・再構成して容量を増やしたもの。

これは輸送の都合だけでなく、樽の影響を穏やかにするという意味合いも大きいはずです。

大きい部類に入る、3リットルのミニ樽でもどうしてもウイスキーと木の接触頻度が高くなります。

短期間で変化を楽しめる一方で、個人の消費ペースでは長期熟成はかなり難しいと感じました。

 

② 天使のわけまえ

いわゆる「天使のわけまえ(エンゼルズシェア)」も、ミニ樽では確かに起こります。

保管環境にも左右されるため断定はできませんが、体感としては、アルコール度数が少しずつ下がっていく印象がありました。

これもコントロールできる余地はあると思います。
ただ、個人レベルで安定させるのは簡単ではありません。

 

③ 維持の難しさ

もう一つは、樽の管理です。

ウイスキーを抜いた状態で放置すると、樽は乾燥して隙間ができてしまう。

常に何かしら液体を入れておく必要があります。
水でも良いのでしょうが、所有していたミニ樽はガラス面があり中身が見える仕様。
そのため水は腐りやすく、現実的ではありませんでした。

「楽しいけど、続けにくい」

これが、正直な感想です。


熟成は「形」ではなく「バランス」でした

こうした経験から考え始めたのが、熟成とは何かということでした。

熟成は、樽という「形」を真似すれば再現できるものではない。
本質は、ウイスキーと木材とのバランスにある。

容量、接触量、時間。
それらをどうコントロールできるかが重要なのだと考えるようになりました。

 

逆転の発想で生まれたチャーリングチップ

そこで行き着いたのが、樽を「器」として使うのではなく、樽そのものを分解して使うという発想です。

器にすると木香が強く出過ぎる。
なら、ウイスキーに直接漬け込んでしまえばいい。

こうして生まれたのが、チャーリングチップです。

ホワイトオーク樽をチップ状に加工し、
独自のチャーリングを施しています。

実験の結果、
200mlであれば1.5g前後が一つの目安になりました。

ただし、完成しているウイスキーへの後熟なので、やりすぎは禁物です。

量を減らせば、より長期向きにもできる。
この調整できる余白こそが、大きなメリットでした。

 

樽は消耗品

ウイスキー熟成とは、樽の成分が溶け出し、原酒と混ざり合うことでもあります。

バーボンを除けば、樽は通常、複数回使われます。

ファーストフィル、セカンドフィル、サードフィル。
使うたびに影響は弱まり、風味の出方も変わっていきます。

チャーリングチップは、基本的に使い切り。
常にファーストフィルの状態から始められます。

この点は、見落とされがちですが、再現性という意味でとても重要だと感じています。

 

チャーリングチップで捨てたもの

もちろん、捨てたものもあります。

樽熟成で重要とされる「樽の呼吸」は再現できません。

これは、本格熟成を名乗る上で大きな要素を失う選択でした。

ただ、その代わりに得たものもあります。

周囲の温度や湿度に過度に左右されず、ボトル熟成なので天使のわけまえも起こりにくい。

これは、個人で楽しむ上では大きなメリットでした。

 

“味”を追求できる

個人で熟成を楽しむには、コントロールできる余白が必要だと思っています。

1日で樽に負けてしまうようでは、その余白がありません。

チャーリングチップは、量を減らすことでより長期向きにもできます。

どこまで熟成できるかは、まだ研究段階です。
それでも、短期では得られないフレーバーが加わってくることは、今のところ確かです。

見た目は、ただの木片とボトル。
ミニ樽のような雰囲気はありません。

それでも、熟成の幅は、こちらの方が広い。

自分だけの味を追求したい方に、使ってもらえたらうれしいです。

もし興味があれば、まずは少量から、試してみてください。

 

チャーリングチップの詳細はこちら
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